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療育研究室

2018.10.9

どうしても見通しを立てられない時はどうしたらいいの?

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見通しを立てる必要性について知りたい方は、こちらをお読みください

【自分や他人やモノを叩くのは「見通しが立たないこと」が原因??】(別記事)

 

 

多くの療育機関では、「見通しがないから不安定になりますので、見通しが立てやすいものを用意してあげましょう」というアドバイスをされる場合があります。

 

 

その方法例として、以下があります。

 

  • 「毎朝その日の行動予定をカレンダーにして見せて、説明する」
  • 「音が出る時計や目で見てわかる時計を使って説明する」
  • 「やることがないから不安になるので、余暇活動を取り入れてあげましょう」

 

 

障害があろうとなかろうと、見通しがないと不安になりますから、こうした目で見てわかりやすい仕組み(視覚支援)は大切な支援の1つですし、集中できる対象を持つことは大切なことです。

 

 

こうした支援は、「できるだけ普遍的でめったに変わることがない」場合には、非常に有効であるため、支援を受けることが効果的です。

 

 

しかし、ご家族がお子さんの将来を考えたとき、「どのような状況で生きていける子になっていてほしいか」によっては、こうした支援に加えて、「こうした支援を必要とする原因」である「自分で見通しを立てられないこと」を治療する必要が出てきます。

 

 

では、その将来の状況とは、どういったことを指すかといえば、

一般企業に勤める、大学に進学するといった環境のことではなく、

「日常に当たり前に起こる場面」についてのことです。

 

  • 【急に予定が変わって見通しが立たなくなっても癇癪にならずにいられる】
  • 【見通しがずっと立たない、周囲の人も立てられない状況が続いても癇癪にならずにいられる】
  • 【はじめから見通しがほとんど立たない状況であってもその場に癇癪を起こさず参加できる】

 

上記の3つの例は、生きていく上で必ず遭遇する場面であり、言い換えると、この3つの場面に遭遇しても癇癪にならずにその場にいられると、ご家族と一緒にかけがえのない経験を共にできることになります。

 

 

なぜなら、3つの例はそれぞれ、以下の状況を説明したものだからです。

「先生のお休みで授業が変更、トイレに入ったらすべて埋まっていた、自然災害など不可避なトラブルに巻き込まれた状況」

「車の渋滞、電車の遅延など誰も見通しを立てられない状況」

「冠婚葬祭など見通しがあってないような状況」

 

 

冠婚葬祭、災害時、旅行先でのトラブルなど大きな状況についてだけでなく、

「こうなっている可能性が高い」という見通しを何度も繰り返してしまうと、

その見通しが変化したあとの状況を受け入れることができず癇癪になってしまいます。

 

 

このように、ご家族が「どういう状況で、どういう行動ができるようになってほしいか」によって、見通しを立てる手段を使いこなす支援に加えて、

そうした支援ツールがなくても、支援ツールが使えない状況でも、見通しを立てられる能力を身につける支援を受けることが必要がなってきます。

 

 

周囲が本人の能力の限界を勝手に決めて生活の仕方をデザインする前に、

まずは「どうあってほしいのか」について、一緒に考えてみませんか?