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療育研究室

2018.10.9

大きな声で叫んでしまうのは、「原始反射」が原因??

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原始反射という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

原始反射とは、乳幼児がある特定の刺激を受けた際、神経細胞がたくさん集まる脳幹や脊髄によって引き起こされる反射行動のことです。

 

赤ちゃんの手足に指を近づけると掴もうとしたり(把握反射)、口に近づけると吸い込もうとする動き(吸啜反射)は、赤ちゃんの意思とは無関係で起こっており、こうしたいくつかの原始反射により母乳を飲んだり、危険から回避することができているのです。

 

赤ちゃんが笑うように見えているのも、実は口角筋など顔に力が入る原始反射のためです。

 

 

そして脳の成長に伴って原始反射は次第に失われていくのですが、脳の発達過程で何かしらの問題があると原始反射の発生を抑制されずに出やすいままになってしまう場合があります。

 

原始反射についてここでは詳細に説明はしませんが、大切なことは、

「本人の意思とは無関係に身体に力が入り、勝手に動いてしまうことがある」という事実を知っておくことです。

 

「なぜこの子は大きな声を上げてしまうのか」

「なぜこの子は手をひらひらさせてしまうのか」

「なぜこの子は自分を叩いたり、人やモノを叩いてしまうのか」

 

 

こうしたご家族が心配される行動の背景には、原始反射が影響していることが多くあります。

 

例えば、

原始反射が背中や腕、手などに強く残っていると、本人の意思とは無関係に腕を振り上げたり、持っていたものを投げてしまったり、それが頭を叩く行動に繋がってしまうことがあるのです。

(それを周囲の人が見た時に、「本人が嫌がってるから、機嫌が悪いから暴れている」と誤認識してしまうと、間違った支援が提供されることになる場合が多くあります。)

 

 

原始反射が足先に入っていると、かかとを地面に付けずに歩いたり、跳ねる力が上向きに入るとぴょんぴょん跳ねたり、前後に入ると走り回ったりしてしまうことに繋がるなど、

原始反射により問題と考えられる行動のいくつかは原因を特定することが可能です。

 

 

原始反射を失くす(統合する)ためには、より効率的な動作を習得して原始的な動作が出にくくするトレーニングを積みながら、脳幹レベルの脳が行動を司らないように大脳の働きを高めていくトレーニングが並行して必要になります。

 

 

そしてご家庭の中でもできることとしては、原始反射が具体的に「どの部位に、どの程度の力で、どのように発生しているのか」を日々確認し、その身体に入ってしまう力を受け止めて、力を抜いてあげることです。

 

 

そうして力の抜き方を本人が覚えていくと、トレーニングに取り組みやすくなるので、ぜひご家族も一緒に取り組んでいただければと思います。