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療育研究室

2018.10.9

療育って、いったい何?

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障害福祉業界では、治療的教育の略称である「療育」という言葉があちこちで使われ、治療的機能がない支援も療育サービスと言われるなど、今やその定義はあってないような状況です。

 

そのため、ご家族が療育支援を希望する場合には、療育という言葉が使われているかではなく「どういう原理で、どういうことを行い、どういう結果を出すことを目指した支援」を行っているのか、実施内容とその根拠と結果について確認することが求められます。

 

ここで1つ、よくあるお悩みを例にして療育について考えてみましょう!

 

ご家庭での悩みでよく出てくるのが「子どものそばから離れられない」「ずっと手を繋いでおかないとダメなんです」というお悩み。

 

このお悩みについて解決方法を考える際「なぜそうしなければいけないのか」という理由を療育支援者はご家族に必ず聞かなければいけません。

 

なぜならその理由によって解決方法はまったく別のものになるためです。

 

例えば上記2つのお悩みの場合、ご家族にその理由を聞くといろいろ挙がります。

 

①【常に信頼できる人が近くにいないと不安で癇癪になってしまうから】

②【手を離すとぴょんぴょん跳ねたり、頭を自分で叩いてしまうから】

③【勝手にウロウロ飛び出してトラブルを起こしてしまうから】

 

これらは理由の一部ですが、大切なことは、これらの理由として挙げってきた「心配な行動」を解決すれば、今回のお悩みは解決することができるということです。

 

そしてこれらの心配な行動は、それぞれ【発生している原因】が異なるため、解決するためにはそれぞれの行動に適した解決策を実施していくことが必要になります。

 

この際、世の中にはたくさんの療育手法が存在しており、療育者によってどんな療育手法を選んで実施するかが分かれてしまいます。

 

ここでは、1つ1つの療育手法の是非について述べることはしませんが、どの解決策を選んだとしても、最終的に必ず【脳の働き】に繋げていく必要がある点は変わりません。

 

例えば上記の3つの心配な行動の場合、

 

①は、「この先どういうことが、いつ、どんな風に起こるのかわからない状況で、信頼できる人がそばにいないこと」が原因と考えられます。つまりこれは「脳の推測力」、言い換えると「見通しを立てる力が乏しい」ことで起こっている問題です。

これを解決するには、見通しを立てるために必要な記憶力などを高める必要があり、それは脳の認知機能の向上となります。

 

②は、上半身に出る原始反射による問題行動と一定の刺激反応が返ってくることで行動を繰り返してしまう行動問題が原因だと考えられます。そのため、脳の神経回路を新しく構築することで原始的な動作を統合(消失)させながら、原始反射が出しにくくする脳の状態を高く維持するトレーニングが必要であり、これも脳に対する治療になります。

 

③は、ADHDなど多動性が原因の場合、環境から受ける刺激に対する衝動性を抑制できるように脳の認知機能を高める必要がありますし、下半身に出る原始反射による問題行動の場合には、②と同様なトレーニングが必要です。これも脳に対する治療です。

 

 

つまり療育とは本来、様々なアプローチで対象者の生きやすさをつくることですが、最終的には「脳の働きを治療して良くする」ことに繋がっていること重要です。